働き方改革関連法の施行により、労働時間の上限規制が導入されました。
大企業は今年(2019年)4月から施行されており、中小企業は来年(2020年)4月から施行されます。
同法の施行前はどうなっていたのでしょうか?
実は、法律上「何時間まで」という規制はなかったのです。
極端に言えば、割増賃金さえ払っていれば、休日も何も関係ないという感じです。
それが直接的な原因かどうかはケースバイケースだと思われますが、過重労働や労災事故、過労死のような事例が発生し、会社に責任を問われることがニュースになっていたことは記憶に新しいかと思います。
当初、1947年に労働基準法が制定されたときは、「8時間労働制は労働者の健康保持よりも文化生活を保護するため」というのが大きな目的であったようです。
その後、社会の変化や成熟に伴って、労働生産性が欧米に比較して向上せず、健康障害を引き起こす事例が頻発し、少子化といった問題も表面化するといった様々な弊害が出てきました。
そのような問題の解決策として政府が打ち出したのが「働き方改革」であり、関連する様々な法律が改定されました。
その中で、欧米のように労働時間の上限を法律で規制する方向に大転換し、違反した場合の罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)も適用されました。
今回の法改正は「働く人の視点に立った働き方改革」です。
そのため、企業での取り組みは、考え方を間違うと管理コストだけ上がって、労働生産性が低下するといったことが起こりかねません。
法改正を契機に、長時間労働を是正し、労働者のワーク・ライフ・バランスを改善し、全ての労働者が働きやすい環境を構築することが企業に求められる時代なのです。
とはいっても、企業での対策は簡単なものではありません。
また、一朝一夕に働き方を変えることもできません。
また、大企業の働き方改革のしわ寄せが中小企業にきているという報告もあり、経営資源が乏しい中小企業での「働き方改革」は企業にとっては大きな課題となってきています。
その中でも、「労働時間の上限規制」は特に大きな課題となります。
業種、業態によって対策は様々ですが、「全ての労働者が働きやすい環境を構築する」という考え方を見失わずに工夫に工夫を重ねていくことが必要です。
しかし、「労働時間の上限規制」をチャンスと捉え、いち早く対策することで人材採用や社員の定着が行えれば競合他社より一歩抜きんでることができるという考え方ができますね。
「労働時間の上限規制」は、中小企業にとってのチャンスと考えて、2020年4月の施工に向けて今すぐ取り組みましょう!